ナチュラルワインと日本料理の組み合わせは、10年前には珍しいものでした。今は多くのレストランで試みられていますが、「なんとなく合う」という感覚的な説明にとどまることが多い。Moorstone Placeのソムリエ田中恵子は、酸味・発酵・旨味の三角形を軸に、ペアリングを組み立てています。

ナチュラルワインの特徴を理解する

ナチュラルワインは、酸化防止剤(亜硫酸塩)の添加を最小限に抑え、自然酵母で発酵させたワインです。通常のワインと比べて、酸味が鮮明で、発酵由来の複雑な香りを持つものが多い。この特徴が、発酵食品や旨味の強い日本の食材と相性が良い理由のひとつです。ただし、ナチュラルワインの品質は生産者によって大きく異なります。

旨味の強い食材との合わせ方

昆布や鰹節から引いた出汁、発酵した味噌、熟成した醤油など、旨味の強い食材にはミネラル感の強いナチュラルワインが合います。特に、フランス・ロワール地方のミュスカデや、イタリア・フリウリのオレンジワインは、出汁ベースの料理との相性が良い。Moorstone Placeでは、コンソメジュレを使った料理にこの系統のワインを合わせることが多いです。

日本酒との使い分け

すべての料理にワインを合わせる必要はありません。特に、塩だけで仕上げた魚料理や、繊細な野菜料理には、日本酒の方が合うことがあります。田中が選ぶ日本酒は、精米歩合60%以下の純米吟醸が中心です。アルコール度数が低めで、食中に飲んでも料理の味を邪魔しないものを選んでいます。

ノンアルコールペアリングという選択

Moorstone Placeでは、ノンアルコールのペアリングも提供しています。発酵飲料(コンブチャ、ケフィアウォーター)と出汁ベースのドリンクを組み合わせたもので、田中が独自に開発しました。アルコールを飲まない方や、妊娠中の方にも、コース全体を通じたペアリングを楽しんでいただけます。

ペアリングは、料理の味を変えるものではなく、料理の別の側面を引き出すものだと田中は言います。よくある質問のページにも書いていますが、グラス単位での相談も歓迎しています。